離婚協議書は、
離婚後のトラブルを防ぐために欠かせない書面です。
養育費、親子交流、財産分与などの取り決めが曖昧だと、離婚後に争いが起こりやすくなります。
特に2026年4月1日施行の改正により、親権や親子交流を含む取り決めの重要性が高まっています。

離婚協議書は、
夫婦間で決めた離婚条件を文書として残し、離婚後の生活を安定させるための重要な書面です。
とくに子どもがいる場合は、親権や監護、親子交流、養育費について、離婚時に具体的に決めておくことが大切です 。

特に重要となるのが、次のような項目です。

  • 親権・監護者の決め方
  • 養育費の金額と支払方法
  • 親子交流のルール
  • 財産分与や慰謝料の取り決め
  • 年金分割の方法
  • 将来のトラブルを防ぐ清算条項

これらを適切に定めておかないと、離婚後に法的トラブルや生活上の問題が発生する可能性があります。

そこで本記事では、行政書士として離婚協議書の作成に関わる実務経験をもとに、

  • 離婚協議書に必ず入れるべき項目
  • 2026年民法改正による共同親権制度のポイント
  • 養育費・親子交流・財産分与の具体的な決め方
  • 公正証書にするメリットと手続き

について、初めて離婚協議書を作る方にも分かりやすく解説します。

離婚後の生活を安心してスタートさせるためにも、
ぜひ最後まで読みながら必要な取り決めを確認してみてください。

目次 [ close ]
  1. 1. 離婚協議書とは?作成する必要性と法的効力
    1. 離婚協議書を作らないリスク
    2. 公正証書にするべき理由
  2. 2.共同親権とは?
    1. 単独親権との違い
    2. 共同親権が選ばれるケース
    3. 実務上の注意点(トラブル防止)
  3. 3. 親権・監護者の決め方
    1. 親権者の決め方(単独親権・共同親権)
    2. 監護者の指定とは
    3. 重要事項決定の方法(共同親権の場合)
  4. 4. 養育費の取り決め(最重要項目)
    1. 養育費の相場と算定方法
    2. 養育費の支払期間・支払方法
  5. 5.親子交流の決め方
    1. 親子交流の頻度・方法
    2. 親子交流の拒否・制限が認められるケース
    3. トラブルを防ぐ具体的条項例
  6. 6.財産分与の取り決め
    1. 財産分与の対象となる財産
    2. 不動産・預貯金・保険の扱い
    3. 分与割合と支払方法
  7. 7.慰謝料の有無と金額設定
    1. 慰謝料が発生するケース
    2. 慰謝料の相場
    3. 支払方法(一括・分割)
    4. 慰謝料条項テンプレート
  8. 8.年金分割の手続きと記載方法
    1. 合意分割と3号分割
    2. 按分割合の決め方
    3. 実務上の注意点
    4. 年金分割条項テンプレート
  9. 9.その他必ず入れておきたい条項
    1. 清算条項(後日の請求防止)
    2. 住所変更時の通知義務
    3. 紛争解決条項
    4. 離婚協議書では「清算条項」が非常に重要
  10. 10.離婚協議書を公正証書にする手続きと流れ
    1. 公正証書作成の流れ
    2. 公正証書作成に必要な書類
    3. 公正証書の費用の目安
    4. 強制執行認諾文言が重要
  11. 11.行政書士に依頼するメリット
    1. 法的に有効な離婚協議書を作成できる
    2. 将来のトラブルを防げる
    3. 公正証書作成までサポートできる
  12. 12.よくある質問(FAQ)
    1. Q1.LINEや口約束でも有効ですか?
    2. Q2.養育費を払わない場合はどうなりますか?
    3. Q3.共同親権で意見が対立した場合はどうなりますか?
  13. まとめ|離婚協議書は「将来のトラブルを防ぐ設計図」

1. 離婚協議書とは?作成する必要性と法的効力

離婚協議書とは、離婚する夫婦が離婚条件について話し合い、その内容を書面としてまとめた合意書のことです。

離婚後も子どもや財産に関する関係は続くため、口約束だけでは後からトラブルになりやすいです。離婚協議書を作成しておくことで、合意内容を明確に残し、将来の紛争を防ぎやすくなります。

離婚協議書では、次のような内容を取り決めることが一般的です。

  • 親権・監護者の指定
  • 養育費の金額や支払方法
  • 親子交流のルール
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • その他の取り決め(清算条項など)

離婚協議書は、夫婦間の合意内容を示す重要な証拠になります。

特に2026年4月1日施行の改正により、離婚後の親権に共同親権が導入されました。
これにより、離婚後の子どもに関する取り決めを具体的に決めておく重要性は、これまで以上に高くなっています。

離婚協議書を作らないリスク

離婚協議書を作らずに離婚してしまうと、離婚後にさまざまなトラブルが発生する可能性があります。

よくあるトラブルとして、次のようなケースがあります。

①養育費が支払われなくなる。

離婚時に口約束で養育費を決めただけの場合、支払いが途中で止まってしまうことがあります。
書面がなければ、後から約束の内容を証明することが難しくなることもあります。

②親子交流を巡るトラブルが起こる。

「月に1回会う」といった曖昧な約束だけでは、実際の頻度や方法について意見が食い違うことがあります。
その結果、親子の交流が途絶えてしまうケースもあります。

③財産分与で後から争いになる。

離婚時にきちんと財産を整理していない場合、後になって「まだ分けていない財産がある」といった問題が発生することがあります。

④共同親権に関するトラブルが起こる。

2026年4月1日施行の改正により、離婚後の親権に共同親権が導入されました。
そのため、子どもの進学や医療など重要事項の決定方法を決めていないと、後から大きな対立につながる可能性があります。

公正証書にするべき理由

離婚協議書は当事者同士で作成することもできますが、より確実な方法として公正証書にすることが推奨されています。

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公的な文書のことです。

離婚協議書を公正証書にしておくと、次のようなメリットがあります。

  • 強制執行が可能になる。
  • 証拠力が高い。
  • 内容の不備を防ぐことができる。

養育費などの支払い義務について
強制執行認諾条項を入れておくことで、
支払いが滞った場合に裁判を経ずに差押えなどの強制執行が可能になります。

法務省資料でも、
『養育費については改正後に債務名義がなくても、私的な取決め文書に基づいて差押え手続を申し立てられるようになる』と説明されていますが、公正証書にしておくことは依然として実務上有効です 。

特に、次のような内容がある場合には公正証書にしておくことが強く推奨されます。

  • 養育費の支払い
  • 財産分与の分割払い
  • 慰謝料の支払い

離婚協議書の効力をより確実にするためにも、必要に応じて公正証書化を検討するとよいでしょう。

2.共同親権とは?

2026年4月1日施行の改正により、離婚後の親権制度は大きく変わりました。

これまで日本では、
離婚すると父母のどちらか一方のみが親権を持つ「単独親権」が原則でした。
しかし改正後は、
父母が協議により「共同親権」または「単独親権」を選択できるようになりました。

この制度変更は、
子どもの利益を最優先に考え、離婚後も父母双方が子育てに関わることを可能にする目的で導入されました。

ここでは、共同親権の基本的な仕組みや単独親権との違い、共同親権が認められるケース、そして実務上の注意点について解説します。


単独親権との違い

改正前の日本では、離婚すると必ず父または母のどちらか一方が親権者となる 単独親権制度 でした。

2026年4月1日施行の改正後は、次の2つの選択肢があります。

単独親権

父母のどちらか一方のみが親権を持つ制度です。

特徴

  • 子どもの生活・教育などの意思決定を親権者が単独で行う
  • もう一方の親は親権を持たない
  • 従来の日本の制度

次のような場合は単独親権が選ばれることが多いです。

  • 父母間の対立が強い
  • DVや虐待の問題がある
  • 子どもの生活環境を安定させる必要がある

法務省資料では、
家庭裁判所が共同親権とすると子どもの利益を害する場合や、DV・虐待のおそれがある場合など、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権の定めをすることと説明されています 。

共同親権

離婚後も父母双方が親権を持つ制度です。

特徴

  • 父母が共同で子どもの重要事項を決定
  • 子育てへの関与を双方が継続
  • 子どもとの関係維持を重視

ただし、日常生活に関する判断は、実際に子どもと生活している親が行うことが一般的です。

例えば、日常的な事項と重要事項は次のように区分されます。

区分
日常的な事項学校生活、習い事、日常の医療、日常生活の管理
重要事項進学、大きな医療行為、居住地変更、転校を伴う引越し

法務省資料でも、日常の行為は単独行使が可能である一方、進路に影響する進学先の決定やこどもの転居、心身に重大な影響を与える医療行為、財産管理などは共同で行うべき場面があると整理されています 。

共同親権が選ばれるケース

共同親権が選ばれることがあるケースとして、次のような状況があります。

  • 父母の関係が比較的良好な場合。
  • 親子交流が継続的に行われている場合。
  • 子どもの利益に適している場合。

裁判所が最も重視するのは子どもの利益です。
子どもが両親との関係を維持したい、両親が養育に積極的、子どもの精神的安定につながるといった事情がある場合、共同親権が適していると判断される可能性があります。

実務上の注意点(トラブル防止)

共同親権は子どもの利益を重視した制度ですが、実務上はトラブル防止のための準備が非常に重要です。

特に重要なのが 離婚協議書での取り決め です。

以下の内容は必ず具体的に決めておく必要があります。

養育費

  • 金額
  • 支払方法
  • 支払期間

親子交流

  • 頻度
  • 方法
  • 学校行事の参加

子どもの生活拠点

  • 主な居住先
  • 引越し時のルール

重要事項の決定方法

  • 進学
  • 医療
  • 転居

共同親権では父母双方に決定権があるため、取り決めが曖昧だとトラブルの原因になります。

そのため、離婚協議書には できるだけ具体的なルールを記載することが重要 です。

また、養育費など金銭的な約束がある場合は、強制執行が可能な 公正証書 にしておくと安心です。


2026年の民法改正により、日本の離婚後の親権制度は 単独親権のみの制度から、共同親権を選択できる制度へと大きく変わりました。

ただし、共同親権が常に適しているわけではなく、最も重要なのは 子どもの利益 です。

また、共同親権では父母双方が子育てに関わるため、離婚時の取り決めがこれまで以上に重要になります。

トラブルを防ぐためにも、養育費や面会交流などの内容を 離婚協議書として明確に残しておくこと が大切です。

3. 親権・監護者の決め方

離婚協議書を作成する際、子どもがいる場合に最も重要となるのが親権と監護に関する取り決めです。

2026年4月1日施行の改正により、離婚後の親権制度として単独親権または共同親権を選択できるようになりました。

そのため離婚時には、単に「親権者を誰にするか」だけではなく、

  • 子どもと一緒に生活する親(監護者)
  • 重要事項の決定方法
  • 子どもの生活拠点

なども整理しておく必要があります。

これらを曖昧にしたまま離婚すると、後に養育や教育、引っ越しなどを巡るトラブルが発生する可能性があります。

ここでは、離婚協議書で定めておくべき

  • 親権者の決め方
  • 監護者の指定
  • 共同親権の場合の意思決定方法

について分かりやすく解説します。


親権者の決め方(単独親権・共同親権)

離婚する際、未成年の子どもがいる場合は必ず親権者を定める必要があります
これは民法でも定められており、親権者が決まらないと離婚届は受理されません。

2026年4月1日施行の改正以降、離婚後の親権には次の2つの形があります。

単独親権

父または母のどちらか一方のみが親権を持つ方法です。

従来の日本の制度であり、次のようなケースでは単独親権が選ばれることが多いです。

  • 父母の対立が強い場合
  • DVやモラハラがある場合
  • 子どもの生活環境を安定させる必要がある場合

単独親権の場合、子どもの教育・医療・生活などに関する重要事項は親権者が単独で決定します。

共同親権

離婚後も父母双方が親権を持つ制度です。

共同親権では、子どもの重要事項について父母が共同で決定することになります。

ただし、日常生活に関する判断は、同居している親が行う場面が多いです。

例えば次のように区分されます。

区分
日常的な事項学校生活、習い事、日常の医療、日常生活の管理
重要事項進学、大きな医療行為、海外留学や居住地変更、転校を伴う引越し

このように、共同親権では役割分担を明確にしておくことが重要になります。

法務省資料でも、共同親権では、日常の行為は単独で行える一方、こどもの転居や進路に影響する進学先の決定、心身に重大な影響を与える医療行為、財産管理などは、共同で判断する場面があるとされています 。

監護者の指定とは

離婚協議書では、親権とは別に「監護者(かんごしゃ)」を指定することがあります。

監護者とは

監護者とは、実際に子どもと一緒に生活し、日常的に養育する親のことを指します。

例えば次のようなケースがあります。

父母が共同親権

子どもは母と同居

母を監護者として指定

このように、

  • 親権者
  • 監護者

を分けて定めることも可能です。

監護者を決めておくメリット

監護者を明確にしておくことで、次のようなトラブルを防ぐことができます。

  • 子どもの生活拠点を巡る争い
  • 学校や保育園の手続きの混乱
  • 医療や日常生活の判断の問題

特に共同親権の場合、監護者を定めておくことで子どもの生活環境を安定させることができます。

重要事項決定の方法(共同親権の場合)

共同親権では、子どもの重要事項を父母が共同で決めることになります。

しかし、具体的なルールを決めておかないと、離婚後に意見が対立する可能性があります。

そのため、離婚協議書では次のような内容を取り決めておくことが重要です。

重要事項の範囲

例えば次のような事項は重要事項として扱われることが多いです。

  • 進学や学校選択
  • 大きな医療行為
  • 海外留学や居住地変更
  • 引越し(生活環境の大きな変更)

これらについては、父母の協議によって決定すると定めておくことが一般的です。

意見が一致しない場合は、
協議、家庭裁判所の調停、専門家を交えた協議などの方法を決めておくと安心です。

離婚協議書の記載例(シンプル)

実務では、次のような条項を入れることが多いです。

「子の重要事項(進学・医療・居住地変更等)については、父母が協議して決定するものとする。」

このように、重要事項の決定方法を明文化しておくことが大切です。


離婚協議書では、子どもに関する取り決めとして

  • 親権(単独親権・共同親権)
  • 監護者
  • 重要事項の決定方法

を明確に定めておく必要があります。

特に2026年4月1日施行の改正以降、共同親権制度が導入されたことで、離婚時の取り決めの重要性はこれまで以上に高くなっています。

4. 養育費の取り決め(最重要項目)

子どもの生活環境を安定させるためにも、親権や監護に関する内容は離婚協議書に具体的に記載しておくことが大切です。

離婚協議書の中でも、最も重要な項目の一つが養育費の取り決めです。
養育費とは、子どもが経済的に自立するまでに必要な生活費や教育費などを、親が分担して負担するお金のことをいいます。

一般的に、子どもと同居していない親が、子を監護する親に対して毎月支払います。

離婚時に養育費を明確に取り決めておかないと、

・途中で支払いが止まる
・金額をめぐってトラブルになる
・強制執行ができない

といった問題が発生する可能性があります。

そのため、離婚協議書には

  • 養育費の金額
  • 支払日
  • 支払方法
  • 支払期間

具体的に記載することが重要です。


養育費の相場と算定方法

養育費の金額は、家庭ごとに自由に決めることができますが、一般的には家庭裁判所が公表している「養育費算定表」を参考に決めるケースが多いです。

この算定表は、裁判所の実務でも広く利用されている基準です。

養育費算定表とは

養育費算定表とは、次の要素をもとに養育費の目安を示した表です。

  • 父母それぞれの年収
  • 子どもの人数
  • 子どもの年齢

例えば、父母の年収や子どもの人数、年齢によって養育費の目安は変わります。

  • 父の年収:500万円
  • 母の年収:100万円
  • 子ども:1人(0〜14歳)

の場合、養育費の目安は月4〜6万円程度になることがあります。

ただし、算定表はあくまで目安であり、個別事情によって増減します。

  • 私立学校の学費
  • 医療費
  • 特別な教育費

などを考慮して、当事者同士で調整することも可能です。

養育費を決める際のポイント

養育費を決める際には、次の点も確認しておくとよいでしょう。

  • ボーナス払いを含めるか
  • 学費など特別費用の負担割合
  • 収入が変わった場合の見直し

これらを離婚協議書に記載しておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。

養育費の支払期間・支払方法

養育費の取り決めでは、いつまで・どのように支払うかも明確にしておく必要があります。

支払期間(いつまで支払うか)

養育費の支払期間は、一般的に次のいずれかで定めます。

  • 子どもが20歳になるまで
  • 子どもが大学卒業まで
  • 子どもが経済的に自立するまで

近年は大学進学率が高いため、
「大学卒業まで」と定めるケースが増えています。
ただし、浪人・留年の扱いについても決めておくと安心です。

・大学卒業予定年月まで
・ただし最長22歳まで

などと記載することがあります。

支払方法(振込・支払日)

養育費の支払い方法は、通常次のように決めます。

  • 毎月払い
  • 銀行振込
  • 支払日を指定

例えば、毎月末日限り、指定口座へ振込といった形です。
振込先口座も離婚協議書に明記しておくと、トラブル防止になります。

強制執行を見据えた養育費の記載方法

養育費の取り決めでは、
将来の未払いに備えた記載をしておくことが非常に重要です。

実際に、養育費は途中で支払いが止まるケースも少なくありません。
そのため、
強制執行ができる形で取り決めることが大切です。

養育費については、
改正後、私的な取決め文書に基づく差押え手続や、法定養育費の制度が設けられていますが、具体的な取り決めは依然として重要です 。

公正証書には、強制執行認諾文言を入れておく必要があります。

この文言があることで、給与や預金などを差し押さえることが可能になります。
養育費の未払いに備えるうえで、非常に重要なポイントです。

養育費条項は、

  • 金額
  • 支払日
  • 支払方法
  • 支払期間

を明確にしておくことが重要です。
また、将来の未払いに備えて公正証書で作成しておくと安心です。

離婚協議書の養育費条項テンプレート

離婚協議書を作成する際、多くの方が悩むのが養育費の書き方です。

養育費の条項は、記載方法があいまいだと

・支払いが止まる
・支払期限でトラブルになる
・強制執行ができない

といった問題が起こる可能性があります。

そこでここでは、実務でも使われる養育費条項のテンプレートを紹介します。
離婚協議書作成の参考にしてください。

養育費条項テンプレート(基本型)

最も一般的な養育費条項の例です。

第○条(養育費)

甲(父)は、乙(母)に対し、長男〇〇(令和○年○月○日生)の養育費として、
令和○年○月から同人が満20歳に達する日の属する月まで、
毎月末日限り金○万円を乙名義の下記指定口座に振り込んで支払う。

振込手数料は甲の負担とする。

養育費条項テンプレート(大学卒業まで)

大学進学を想定する場合の条項例です。

第○条(養育費)

甲は、乙に対し、長男〇〇の養育費として、
令和○年○月から同人が大学を卒業する月まで、
毎月末日限り金○万円を乙名義の指定口座へ振り込んで支払う。

ただし、最長で満22歳に達する日の属する月までとする。

養育費条項テンプレート(兄弟姉妹がいる場合)

子どもが複数いる場合の記載例です。

第○条(養育費)

甲は、乙に対し、次の子らの養育費として、
令和○年○月から各人が満20歳に達する日の属する月まで、
毎月末日限り合計金○万円を乙名義の指定口座へ振り込んで支払う。

長男 〇〇(令和○年○月○日生)
長女 〇〇(令和○年○月○日生)

振込手数料は甲の負担とする。

特別費用(学費・医療費)の取り決め

養育費とは別に、教育費や医療費をどうするかも決めておくとトラブル防止になります。

第○条(特別費用)

子の進学に伴う入学金、授業料その他通常の養育費に含まれない
高額な教育費および医療費が発生した場合は、
甲乙協議のうえ、その負担割合を決定する。

実務では

  • 折半
  • 収入割合

などで決めるケースが多いです。

強制執行を可能にする条項(重要)

養育費の未払いに備えて、強制執行ができる形にしておくことが非常に重要です。

そのためには、離婚協議書を公正証書で作成します。

公正証書では次の条項を入れます。

甲は、本契約に基づく金銭債務の支払いを怠ったときは、
直ちに強制執行に服することを認諾する。

この条項があると、養育費が未払いになった場合、

・給与差押え
・預金差押え

などが可能になります。

5.親子交流の決め方

離婚後、子どもと離れて暮らす親が子どもと交流することを、親子交流といいます。

親子交流は、子どもが両親との関係を保ちながら健やかに成長していくために重要なものとされています。
そのため離婚協議書では、親子交流の方法や頻度をできるだけ具体的に取り決めておくことが大切です。

取り決めがあいまいなままだと、

・親子交流の回数をめぐるトラブル
・急な交流拒否
・子どもの予定との調整トラブル

などが起こることがあります。

離婚後のトラブルを防ぐためにも、
離婚協議書では親子交流の頻度・方法・連絡手段などを明確にしておくことが重要です。


親子交流の頻度・方法

親子交流の頻度は家庭の事情や子どもの年齢によって異なりますが、一般的には次のような取り決めが多く見られます。

親子交流の一般的な頻度・方法

・月1回
・月2回
・学校の長期休暇(夏休み・冬休みなど)
・誕生日や学校行事

また、親子交流の方法としては次のようなものがあります。

・直接会って交流する
・宿泊を伴う交流
・オンライン交流(ビデオ通話など)
・電話や手紙による交流

子どもの年齢や生活環境に応じて、
無理のない範囲で親子交流の方法を決めることが重要です。

特に子どもが小さい場合には、

・交流時間
・送迎方法
・子どもの受け渡し場所

などを具体的に決めておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。

親子交流の拒否・制限が認められるケース

親子交流は子どもの利益を最優先に考えて行われますが、次のような事情がある場合には親子交流が制限されることがあります。

親子交流の制限が認められる主なケース

・家庭内暴力(DV)があった場合
・子どもへの虐待のおそれがある場合
・子どもが強く拒否している場合
・子どもの連れ去りの危険がある場合

法務省資料でも、父母が親子交流の取決めをしても、特段の理由なくその実施を拒むことは、父母間の人格尊重・協力義務に反する場合があるとされています 。

また、家庭裁判所では、親子交流の試行的実施を行って状況を把握しながら調整する制度も設けられています 。

トラブルを防ぐ具体的条項例

親子交流については、離婚協議書に次のような条項を入れておくとトラブル防止になります。

第○条(親子交流)

甲は、乙と同居する未成年の子〇〇と親子交流を行うことができる。

親子交流は、原則として月1回、土曜日または日曜日に行うものとし、
具体的な日時および場所については、甲乙協議のうえ決定する。

子の学校行事、体調その他やむを得ない事情がある場合には、
親子交流の日時を変更することができる。

必要に応じて、次の内容も取り決めておくとより安心です。

親子交流条項に入れておくとよい内容

・親子交流の頻度
・交流時間
・送迎方法
・連絡方法(LINE・メールなど)
・宿泊交流の可否

これらを具体的に定めておくことで、離婚後のトラブルを大きく減らすことができます。


親子交流は、子どもの健全な成長のために重要な制度です。

離婚協議書では

・交流の頻度
・交流方法
・連絡方法

などを具体的に定めておくことで、離婚後のトラブルを防ぐことができます。

特に子どもの生活や学校生活に配慮し、子どもの利益を最優先にした親子交流の取り決めを行うことが大切です。

6.財産分与の取り決め

財産分与とは、
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の際に分ける制度です。
離婚後の生活を安定させるためにも、離婚協議書で財産分与の内容を明確に取り決めておくことが重要です。

財産分与の対象や支払方法を具体的に決めておかないと、離婚後にトラブルが生じる可能性があります。

そのため、離婚協議書では次の点を明確にしておくことが大切です。

  • 財産分与の対象となる財産
  • 不動産や預貯金など具体的な分け方
  • 支払方法や支払期限

以下では、離婚協議書で定めておくべき財産分与のポイントを詳しく解説します。


財産分与の対象となる財産

財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦が協力して形成した財産(共有財産)です。

代表的な共有財産には次のようなものがあります。

  • 預貯金
  • 不動産(自宅・土地など)
  • 自動車
  • 株式・投資信託
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金(将来支給予定のものを含む場合あり)

これらは、名義がどちらか一方になっている場合でも、実質的に夫婦の協力によって形成されたものであれば財産分与の対象となる可能性があります。

一方で、次のような財産は原則として財産分与の対象にならない「特有財産」とされています。

  • 結婚前から所有していた財産
  • 相続や贈与で取得した財産
  • 個人的に取得した財産

離婚協議書を作成する際には、
まず夫婦の財産を整理し、
共有財産と特有財産を区別しておくことが重要です。

不動産・預貯金・保険の扱い

財産分与では、具体的な財産ごとに分け方を決める必要があります。特にトラブルになりやすいのが、不動産や預貯金、保険などです。

① 不動産(自宅など)

自宅などの不動産については、主に次の方法で分けることが多くなります。

  • 一方が取得し、代償金を支払う
  • 売却して売却代金を分ける
  • 離婚後も共同名義のままにする

住宅ローンが残っている場合は、名義や返済方法についても明確に取り決めておく必要があります。

② 預貯金

預貯金は比較的分けやすい財産です。
離婚時点の残高を基準に、夫婦で分ける方法が一般的です。

例えば、次のような形です。

  • 〇〇銀行普通預金〇〇円は、夫婦で2分の1ずつ分与する
  • 夫が〇〇円を妻へ支払う

③ 保険

生命保険については、解約返戻金がある場合、その金額が財産分与の対象になることがあります。

例えば

  • 保険を解約して返戻金を分ける
  • 一方が保険契約を継続し、代償金を支払う

などの方法が考えられます。

離婚協議書では、対象となる財産を具体的に特定して記載することが重要です。

分与割合と支払方法

財産分与の割合は、原則として夫婦それぞれ2分の1(半分ずつ)と考えられています。
これは、夫婦が協力して財産を形成したと考えられるためです。

法務省資料でも、財産分与の考慮要素として、財産の取得・維持への寄与、婚姻期間、生活水準、協力扶助の状況、年齢や収入などが示されており、寄与の程度は原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされています

ただし、次のような事情がある場合には、分与割合が調整されることもあります。

  • 婚姻期間の長さ
  • 収入や家事労働への貢献度
  • 財産形成への寄与度

また、財産分与の支払方法についても、離婚協議書で明確にしておく必要があります。
主な支払方法には次のようなものがあります。

  • 一括払い
  • 分割払い
  • 不動産や車など現物での分与

分割払いの場合は、次の内容も記載しておくとトラブル防止になります。

  • 支払金額
  • 支払期限
  • 支払方法(銀行振込など)

例えば、次のような形です。

「夫は財産分与として金〇〇万円を妻に支払う。支払期限は令和〇年〇月〇日までとし、妻名義の銀行口座へ振り込む方法により支払う。」

なお、財産分与の請求期間は、改正後は離婚後5年に伸長されています 。
そのため、離婚時に取り決めをしておくことの重要性は引き続き高いです。

7.慰謝料の有無と金額設定

離婚協議書を作成する際には、慰謝料を請求するのか、請求しないのかを明確にしておくことが重要です。

慰謝料とは、離婚に至る原因を作った配偶者が、相手に与えた精神的苦痛を金銭で補償するものです。必ず発生するものではなく、離婚原因によっては発生しないケースもあります。

また、慰謝料の有無や金額について取り決めをしていないと、離婚後にトラブルになることも少なくありません。そのため、離婚協議書では慰謝料について明確に定めておくことが大切です。

ここでは、慰謝料が発生するケース、一般的な相場、支払方法について解説します。


慰謝料が発生するケース

慰謝料は、離婚の原因となった行為に責任がある場合に認められます。

代表的なケースは次のとおりです。

・不貞行為(浮気・不倫)
・DV(家庭内暴力)
・モラハラ(精神的虐待)
・悪意の遺棄(生活費を渡さない・家出など)
・長期間の不当な別居

例えば、不貞行為が原因で離婚する場合には、配偶者に対して慰謝料請求が認められる可能性があります。

一方で、性格の不一致や価値観の違いなど、どちらか一方に明確な責任があるとは言えない場合には、慰謝料が発生しないケースも多いです。

離婚協議書では、慰謝料を支払う場合だけでなく、慰謝料請求をしない場合でもその旨を明確にしておくことが重要です。

慰謝料の相場

離婚慰謝料の金額は法律で決まっているわけではなく、離婚原因や婚姻期間、子どもの有無などによって変わります。

一般的な相場は次のとおりです。

・不貞行為による離婚
 おおむね100万円~300万円程度

・DV・モラハラによる離婚
 おおむね50万円~300万円程度

・その他の離婚原因
 0円~100万円程度

ただし、次の事情によって金額は大きく変動します。

・婚姻期間の長さ
・精神的苦痛の程度
・子どもの有無
・離婚原因の悪質性
・当事者の収入状況

協議離婚では、裁判と違って当事者同士の合意で金額を決めることができるため、相場より高くなる場合も低くなる場合もあります。

支払方法(一括・分割)

慰謝料の支払方法は、主に次の2種類があります。

① 一括払い

慰謝料を一度に支払う方法です。

メリット
・未払いリスクがない
・後々のトラブルを防げる

デメリット
・支払う側の負担が大きい

② 分割払い

一定期間に分けて支払う方法です。

メリット
・支払う側の負担が軽い

デメリット
・途中で支払いが止まるリスクがある

分割払いの場合は、次の事項を必ず決めておきましょう。

・支払総額
・毎月の支払額
・支払期限
・振込口座
・支払いが滞った場合の対応

特に、支払いが滞った場合の期限の利益喪失条項を入れておくと、トラブル防止につながります。

慰謝料条項テンプレート

離婚協議書の条文例です。参考にしてください。

一括払いの場合

第○条(慰謝料)

夫は、本件離婚に伴う慰謝料として、妻に対し金○○万円を支払う。

夫は、前項の金員を令和○年○月○日までに、妻の指定する銀行口座に振り込む方法により支払うものとする。なお、振込手数料は夫の負担とする。

分割払いの場合

第○条(慰謝料)

夫は、本件離婚に伴う慰謝料として、妻に対し金○○万円の支払義務があることを認める。

夫は、前項の金員を令和○年○月から令和○年○月まで、毎月末日限り金○万円ずつ、妻の指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は夫の負担とする。

夫が前項の支払いを2回以上怠ったときは、夫は期限の利益を失い、残額を直ちに支払うものとする。

分割払いの場合は、支払期間と毎月の支払額を明確に記載し、2回以上怠ったときは期限の利益を失い残額を直ちに支払う旨を定めるとよいです。

8.年金分割の手続きと記載方法

離婚をする際には、婚姻期間中に夫婦で築いた厚生年金の記録を分け合う「年金分割」の制度を利用できる場合があります。

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録を分ける制度です。将来の老齢厚生年金額に影響します。

特に、専業主婦(または主夫)などで厚生年金の加入期間が短い場合には、将来の年金額に大きく影響する重要な制度です。

離婚協議書では、年金分割の合意内容を明確に記載しておくことで、離婚後の手続きをスムーズに進めることができます。

ここでは、年金分割の種類、按分割合の決め方、実務上の注意点について解説します。


合意分割と3号分割

年金分割には、主に次の2つの制度があります。

① 合意分割

夫婦の合意によって年金記録を分割する方法です。

特徴は次のとおりです。

・按分割合を夫婦の合意で決める
・最大で「0.5(50%)」まで分割できる
・離婚協議書や公正証書で合意内容を明確にすることが望ましい

例えば、婚姻期間中に夫が会社員として厚生年金に加入していた場合、その期間の年金記録を最大50%まで妻に分割することが可能です。

② 3号分割

第3号被保険者(主に専業主婦・主夫)が対象となる制度です。

特徴は次のとおりです。

・平成20年4月1日以降の婚姻期間が対象
・按分割合は自動的に「50%」
・相手の合意がなくても手続き可能

ただし、3号分割の対象となるのは平成20年4月以降の期間のみです。それ以前の期間については、合意分割の手続きが必要になります。

按分割合の決め方

合意分割では、年金記録の按分割合を夫婦で決める必要があります。

按分割合とは、婚姻期間中の厚生年金記録をどの割合で分けるかを示す数値で、最大0.5(50%)まで設定することができます。

例えば次のような割合が考えられます。

・0.5(50%)
・0.4(40%)
・0.3(30%)

一般的には、夫婦で公平に分けるという観点から、0.5(50%)とするケースが多いとされています。

ただし、次のような事情によって割合が調整されることもあります。

・共働きで双方に厚生年金加入期間がある
・婚姻期間が短い
・収入差が小さい

なお、年金分割は年金の金額を分ける制度ではなく、保険料納付記録を分割する制度である点に注意が必要です。

実務上の注意点

年金分割を行う際には、次の点に注意が必要です。

① 請求期限がある

2026年4月1日以降に離婚する場合、年金分割の請求期限は原則5年です。

② 年金事務所での手続きが必要

離婚協議書で合意しただけでは年金分割は完了しません。
実際には、年金事務所での手続きが必要になります。

一般的な流れは次のとおりです。

1 年金事務所で「情報通知書」を取得
2 離婚協議書または公正証書を作成
3 年金事務所で分割請求

③ 公正証書にしておくと安心

合意分割の場合、口頭の合意だけではトラブルになることがあります。

そのため、

・離婚協議書
・公正証書
・調停調書

などで合意内容を残すことが望ましいです。

年金分割条項テンプレート

離婚協議書にそのまま使える条文例です。

第○条(年金分割)

夫及び妻は、婚姻期間中の厚生年金保険の標準報酬の改定記録について、年金分割の按分割合を○・○(上限0・5)とすることに合意する。

夫及び妻は、年金分割の手続きに必要な書類の作成及び提出について、互いに協力するものとする。

9.その他必ず入れておきたい条項

離婚協議書では、親権・養育費・財産分与などの主要項目だけでなく、将来のトラブルを防ぐための補足条項を入れておくことも非常に重要です。

実務では、次のような条項を入れておくことで離婚後の紛争を防ぐことができます。

・清算条項(後日の請求防止)
・住所変更時の通知義務
・紛争解決条項

これらは必須ではありませんが、実務上はほぼすべての離婚協議書に入れる重要条項です。
特に清算条項は、離婚後の追加請求を防ぐうえで重要です。

ここでは、それぞれの条項の意味と書き方を解説します。


清算条項(後日の請求防止)

清算条項とは、離婚に関するすべての問題が解決していることを確認する条項です。

この条項を入れておくことで、離婚後に次のような請求をされるリスクを防ぐことができます。

例えば、次のようなケースです。

・「やっぱり財産分与が少なかった」と追加請求される
・「慰謝料を請求する」と言われる
・「隠していた財産がある」と主張される

清算条項がない場合、離婚後に新たな請求をされる可能性があります。

そのため、実務では次のような形で離婚協議書の最後に清算条項を入れることが一般的です。

清算条項テンプレート

離婚協議書で最もよく使われる条文例です。

第○条(清算条項)

夫及び妻は、本協議書に定める事項をもって、両者間の離婚に関する一切の問題が解決したことを確認し、今後、名目のいかんを問わず、互いに何らの財産上の請求をしないことを確認する。

住所変更時の通知義務

離婚後も、養育費や親子交流などで一定の連絡が必要になることがあります。

そのため、住所が変わった場合には相手方に通知する義務を定めておくことが望ましいです。

例えば次のようなケースです。

・養育費の振込先変更
・親子交流の連絡
・公正証書による強制執行

住所変更を知らせないまま連絡が取れなくなると、トラブルの原因になります。

そのため、実務では次のような条項を入れておくことが多いです。

・住所変更時の通知
・電話番号やメールアドレス変更時の通知

住所変更通知条項テンプレート

第○条(住所等の変更通知)

夫及び妻は、住所、電話番号その他連絡先に変更があった場合には、速やかに相手方に通知するものとする。

紛争解決条項

離婚後にトラブルが発生することもあります。

そのような場合に備えて、紛争が生じた場合の解決方法を定めておくことも有効です。

例えば、次のような方法があります。

・家庭裁判所の調停
・管轄裁判所の指定

特に公正証書にする場合には、将来の紛争解決を見据えた条項を入れておくことで、手続きがスムーズになります。

紛争解決条項テンプレート

第○条(協議条項)

本協議書に定めのない事項又は本協議書の解釈について疑義が生じた場合には、夫及び妻は誠意をもって協議し、解決するものとする。

離婚協議書では「清算条項」が非常に重要

離婚協議書を作成する際に、最も見落とされやすいのが清算条項です。

しかし実務では、この条項があるかどうかで、離婚後のトラブルのリスクが大きく変わります。

離婚協議書は、単に取り決めを書くだけではなく、将来の紛争を防ぐための設計図でもあります。

そのため、主要項目だけでなく、今回紹介したような補足条項も含めて、内容をしっかり整えておくことが重要です。

10.離婚協議書を公正証書にする手続きと流れ

離婚協議書は夫婦間の合意内容をまとめた重要な書面ですが、より強い法的効力を持たせるためには「公正証書」にしておくことが望ましいとされています。

公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公文書のことです。
特に養育費や慰謝料など金銭の支払いがある場合には、公正証書にしておくことで、相手が支払いを怠ったときに裁判をせずに強制執行(差押え)が可能になります。

そのため、実務では次のようなケースでは公正証書にすることが強く推奨されています。

・養育費の支払いがある
・慰謝料の支払いがある
・財産分与を分割払いにする
・将来のトラブルを防ぎたい

ここでは、公正証書を作成するための手続きや必要書類、費用の目安について解説します。


公正証書作成の流れ

離婚協議書を公正証書にする場合、一般的な流れは次のとおりです。

① 離婚条件を夫婦で合意する

まずは次のような離婚条件を夫婦で決めます。

・親権(単独または共同)
・養育費
・親子交流
・財産分与
・慰謝料
・年金分割

この内容を整理しておくことで、公正証書の作成がスムーズになります。

② 離婚協議書の原案を作成する

公証役場では、当事者が口頭で説明することもできますが、
あらかじめ離婚協議書の原案を作っておく方がスムーズです。

行政書士などの専門家に依頼する場合は、この原案を作成してもらいます。

③ 公証役場へ事前相談

次に、公証役場へ連絡し、作成内容を確認します。

多くの場合は次の方法で相談できます。

・電話
・メール
・事前面談

その後、公証人が公正証書の案を作成します。

④ 公証役場で公正証書を作成

夫婦双方が公証役場に出向き、公証人の前で内容を確認します。

問題がなければ、その場で署名・押印し、公正証書が完成します。

なお、事情によっては次の方法も可能です。

・代理人による手続き
・一方のみ来所(委任状あり)

公正証書作成に必要な書類

一般的に必要となる書類は次のとおりです。

本人確認書類

・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート

戸籍関係書類

・戸籍謄本

その他

・離婚協議書案
・不動産資料(財産分与がある場合)
・年金分割情報通知書

具体的な書類は、公証役場によって多少異なるため、事前に確認しておくと安心です。

公正証書の費用の目安

公正証書の費用は、取り決める金額によって変わります。

例えば、養育費や慰謝料などの金額が基準になります。

目安としては次のとおりです。

金額手数料目安
100万円まで約5,000円
100万円〜500万円約1万円
500万円〜1000万円約1万7,000円

さらに次の費用がかかる場合があります。

・正本・謄本作成費用
・送達費用

そのため、合計で1〜5万円程度になることが多いです。

強制執行認諾文言が重要

養育費や慰謝料の支払いを確実にするためには、
公正証書に「強制執行認諾文言」を入れておく必要があります。

これは次のような意味を持つ条文です。

『支払いを怠った場合には、直ちに強制執行に服する』

この文言があることで、給与差押えや預金差押えが可能になります。

つまり、裁判をしなくても強制執行が可能になります。

11.行政書士に依頼するメリット

離婚協議書は夫婦間の合意内容をまとめた重要な書面ですが、書き方を誤ると将来のトラブルにつながる可能性があります。

インターネット上には多くのテンプレートがありますが、個々の事情に合わないまま使用すると、次のような問題が発生することもあります。

・養育費の支払いが滞ったときに対応できない
・親子交流の取り決めが曖昧でトラブルになる
・財産分与の内容が不明確で紛争になる

そのため、離婚協議書の作成では専門家のサポートを受けることが安心です。
ここでは、行政書士に依頼する主なメリットを解説します。


法的に有効な離婚協議書を作成できる

離婚協議書は、ただ内容を書くだけではなく、法的効力を持つ形で作成することが重要です。

例えば次のようなポイントがあります。

・強制執行を見据えた条文設計
・公正証書化を前提とした内容
・トラブル防止の補足条項

行政書士は法律実務に基づいた文書作成を行うため、法的に有効な離婚協議書を作成することができます。

将来のトラブルを防げる

離婚後に最も多いトラブルは、次のようなものです。

・養育費を支払わない
・親子交流の取り決めでもめる
・財産分与をめぐる争い

行政書士はこれまでの実務経験をもとに、こうしたトラブルを想定して条文を作成します。

そのため、離婚後の紛争を未然に防ぐことができます。

公正証書作成までサポートできる

養育費や慰謝料など金銭の支払いがある場合、離婚協議書を公正証書にしておくことが望ましいとされています。

行政書士に依頼した場合、次のようなサポートを受けることができます。

・離婚協議書の作成
・公証役場との事前調整
・公正証書作成のサポート

そのため、手続きをスムーズに進めることができます。

12.よくある質問(FAQ)

Q1.LINEや口約束でも有効ですか?

LINEや口約束でも、双方の合意があれば契約として成立する可能性はあります。

しかし、内容が曖昧である場合や証拠として不十分な場合が多く、トラブルの原因になりやすいです。

そのため、離婚条件は書面として離婚協議書にまとめておくことが重要です。

Q2.養育費を払わない場合はどうなりますか?

養育費の支払いが滞った場合、次のような方法で請求することができます。

・家庭裁判所の調停
・履行勧告
・強制執行

養育費については、改正後、私的な取決め文書に基づく差押え手続を申し立てやすくなっていますが、実際には取り決め内容を明確にし、公正証書等で残しておくことが重要です 。

Q3.共同親権で意見が対立した場合はどうなりますか?

共同親権の場合、子どもの重要事項については父母の協議によって決定します。

しかし、意見がまとまらない場合には、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が判断することになります。

そのため、離婚協議書では次のような内容を決めておくことが重要です。

・監護者
・重要事項の決定方法
・親子交流のルール

まとめ|離婚協議書は「将来のトラブルを防ぐ設計図」

離婚協議書は、離婚後の生活を安定させるための重要な書面です。

特に2026年4月1日施行の改正により、親権、養育費、親子交流、財産分与について、これまで以上に具体的な取り決めが求められるようになりました 。

離婚協議書では、次のような事項を明確に定めておくことが大切です。

・親権(単独または共同)
・監護者
・養育費
・親子交流
・財産分与
・慰謝料
・年金分割

さらに、養育費や慰謝料の支払いがある場合には、公正証書にしておくことで強制執行が可能になります。

離婚後のトラブルを防ぎ、安心して新しい生活をスタートさせるためにも、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、状況に合った適切な離婚協議書を作成することが大切です。

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